「共⽣」は、
21世紀の⼈類と地球にとって、
正⾯から向かい合うべき課題である。
共生学会(Society of Kyosei Studies)は、共生の研究と実践を発展させるため、設立された学会です。異なる分野の研究者や学生、現場で問題に取り組んでいる実践者と専門家、そして当事者との交流を促し、共生に関する研究の発展と共生社会の推進、共創知の産出、およびその教育の普及を図ることを目的としています。
設立趣意書
「共⽣」は、21世紀の⼈類と地球にとって、正⾯から向かい合うべき課題である。「共⽣」が求められているのは、ある社会を構成する多種多様な個⼈と集団のあいだだけではない。国境を越えた⼈どうしのあいだでも、これから⽣まれる⼦孫たちとも、さらには死者たちとも「共⽣」が求められている。急速に進歩する科学技術を、わたしたちの⽇常⽣活にどう受け⼊れていくべきか、そして地球環境全体とヒト以外の⽣物種とのあいだの折り合いをどうつけていくのか、これらの問題系も「共⽣」の課題に含まれる。
漢字2⽂字で表現される「共⽣」は、もちろん⽇本語の概念であり、⽇本語以外の⾔語に翻訳するのは容易ではない。しかし、わたしたちは、この概念は⼈類全体にとって普遍的な意味合いを持つと考えている。わたしたちが直⾯しているさまざまな課題を乗り越え、21世紀の⼈類と地球のあるべき姿を構想するときに、「共⽣」はその導き⼿となる。「共⽣」は、分断、差別や対⽴の克服、地球環境との調和、そしてより⼈間的な科学技術のあり⽅等を構想し実現していくうえで、必須の概念である。
わたしたちは、「共⽣」はたんなる社会課題や研究課題であるだけでなく、すべての⼈間の、よりよい⽣き⽅にかかわる概念であると考えている。その意味では、地球上の⼀⼈ひとりの⼈間が、「共⽣」の当事者である。現場で社会課題に取り組む実践者も、その現場をめぐる状況を研究課題としている研究者も、その⼈⾃⾝が共⽣的に⽣きることを求められている。新たに創設される「共⽣学会」は、その⼈が社会においてマジョリティとマイノリティのいずれに属するかにかかわらず、「⼀⼈ひとりが共⽣の当事者である」という認識に基づいており、それゆえに多様な⼈びとが参加すべきであると考えている。
わたしたちは、「共⽣」に関⼼のあるすべての⼈たちに、新たに設⽴される「共⽣学会」への参加を呼びかけたい。この学会は、さまざまな現場で「共⽣」の実現に向けて⾏われている実践に注⽬し、現場の「声」に⽿を傾け、そしてあるべき未来を構想する、開かれた場である。研究者と学⽣はもちろんのこと、現場で問題に取り組んでいる実践者と専⾨家、そして「当事者」の皆さんが、この新学会に参加されることを期待している。
最後になるが、この趣意書の中⾝は、常に変更に対して開かれていることを明⽰しておきたい。通常、趣意書とは、⼀群の⼈々が発信することによって効⼒を発するのであって、修正や更新は⾏わないものである。もちろん、この趣意書も発信とともに効⼒をもつ。しかし、共⽣という課題に真摯に取り組むためには、趣意書でさえも広く開かれるべきではないかと考える。誰が趣意書を考えるのか、それに誰が応答するのか、という問いは、未だ開かれたままである。何をするのか、どのようにするのか、そして、いかに維持・発展を図るのかということもまた、将来に開かれたままであることを確認しておきたい。その意味で、これは設⽴趣意書Ver.1 とでも⾔うべきものである。
皆さんとともに、新しいタイプの学会を創造していきたい。
共⽣学会設⽴準備委員会
会則・規則 Bylaws of SoKS
理事 Council members
- 会長
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近藤和敬(大阪大学大学院人間科学研究科准教授)
- 副会長
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髙田一宏(大阪大学大学院人間科学研究科教授)
麦倉泰子(関東学院大学社会学部教授)
- 事務局長
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中井好男(大阪大学大学院人間科学研究科)
- 理事
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渥美公秀(大阪大学大学院人間科学研究科教授)
榎井縁(藍野大学医療保健学部健康科学科教授)
尾形文(NPO法人つどう場こうべ代表理事)
岡本工介(一般社団法人タウンスペースwakwak 業務執行理事兼事務局長、
関西大学人権問題研究室委嘱研究員)織田和明(大阪大学大学院情報科学研究科特任助教(常勤))
小山冴子(アーツカウンシル東京プログラムオフィサー)
佐藤桃子(大阪大学大学院人間科学研究科講師)
志水宏吉(武庫川女子大学教育総合研究所所長)
中山亜紀子(広島大学人間社会科学研究科准教授)
藤阪希海(大阪大学大学院人間科学研究科)
森本宮仁子(NPO法人IKUNO・多文化ふらっと代表理事 社福)聖和共働福祉会事務局長)
発起人 Founding members
※所属は設立大会当時。
※共生学会の設立発起人にご承諾いただけた157名の方のうち掲載の承諾を得られた方のリストです。